水口曳山まつり ②

大津祭りファン倶楽部
     展示館に向かう池田町の曳山

神社近くの曳山倉には平町、米屋町、川内町、大地町、柳町の各曳山が、組み立てた状態で保管されており、扉を開放してその前で鉦や太鼓などでお囃子が賑やかに演奏。小さなお子さん達のその光景が微笑ましい。

 

境内では色とりどりの飾りのついた「ほいのぼり」が春の日ざしに映える。屋上のダシを揺らしながら、曳山が方向転換すると大きな拍手が起き、観光客のカメラがフラッシュ音をたてる。

 

方向転換を見て気がついたことがある。まず、山の中央部分の床下に突き出た太い心棒があり、回転場所で地面に敷物を重ねる。山方が両側から「てこの原理」で山を浮かせる。そこで、さらに敷物を重ねる。ゆっくり山を下げる。すると、敷物の厚さの分だけ山が浮く。この時、一気に山を方向転換。そして、再び敷物を抜き取ると元の体制に戻ることだ。「なる程そういう仕組みだったのか」。

 

大人神輿、子供神輿も入場を終え、次第に祭りは終わりに向かう。池田町の曳山が最初に神社を出発して、水口歴史資料館へ向かった。曳き方に聞くと、入庫した山は1年間館内で展示されるということだ。

 

数回の軌道修正の後、山は展示館に入庫を終えた。お囃子も止み関係者が整列し、神主のお祓いが始まった。その時、突然ガタン、ゴトン、ガタンと音がした。私は驚いたのだが、皆さんは慣れた様子で自然体。なんと展示館近くの軌道を、近江鉄道の電車が通過した音だった。「ああ、のどかだな」。

 

あたりが次第に夕闇につつまれると、他の曳き山が提灯をともしながら、各山倉へ戻りはじめる。こうして、水口神社一帯の祭りが終わる。