大津ジャズフェスに行く

      OJFのポスター
      OJFのポスター

「ハーレム・ノクターン」。私は今レコードを聴きながらこの原稿を書いている。ムードテナー奏者として知られるサム・テイラーだ。筆が走らない間にも、「ダニー・ボーイ」「サマー・タイム」と曲名は変わる。そして「夕日に赤い帆」のアップテンポなダンス音楽になると、自然に心が動き手が動き出した。

 

10月15日、16日の両日、大津市内の各会場でJAZZを中心とした演奏が行われ大いに盛り上がった。「第8回 大津ジャズフェスティバル(OJF)」だ。私は大津駅前、大津教会、大津市旧公会堂、お祭り広場などで演奏を楽しんだ。会場間の移動は徒歩だが、全く苦にならない。まだ暑さは残るものの、時折びわ湖湖畔ならではの風も心地よく感じられた。

 

ちょっと印象に残ったシーンを。大津教会では京都・滋賀で活動するゴスペルの「Bicerin(ビチェリン)」だ。歌手6人とピアニスト1人の構成で、その歌声に満席の会場では、手拍子で盛り上がっていた。並んだ長椅子と正面の十字架が、会場特有の雰囲気を醸し出していた。教会、礼拝、賛美歌はよく目にするシーンだ。

 

大津市旧公会堂で演奏していたのは「Vermilion Field」だ。5人のメンバー全員が作曲を手がけ、幅広い音楽性で活動中という。ここでも会場は満席で立ち見客も多くて盛り上がっていた。カメラを取出すと背後から声が。「申し訳ありません。撮影はお断りしています」。ピンクのTシャツ姿のOJFスタッフだ。ああ、そうかそうかと納得。

 

演奏が終わり会場の外へ。びわ湖方面へ続く集団の後について行くと、予想通り目的地はおまつり広場だった。会場近くのびわ湖ホテル前で、ふと2階の窓を見上げると、チャペルでは結婚式の模様。1階のカフェでは正装した、若いふたりがお見合いの様子だ。

 

窓越しに見るこの光景。ゆったりと眼前に広がる静かな湖面。そして会場から流れてくる音楽。その瞬間、ふっと幸せな気持ちになれた自分がそこにいた。