山本勘太夫社中の舞

       猿田彦と獅子
       猿田彦と獅子

建部大社境内での節分・豆まき神事が終了した。いよいよ国指定 重要無形民俗文化財である伊勢大神楽の奉納だ。大神楽師は、お伊勢参りが叶わぬ遠隔地に住む人々のため、日本各地を旅し一年の大半を旅の空で過ごす。

 

現存する五つの家元は、元旦からそれぞれの檀那場へ赴き西日本を中心に諸国を巡る。十二月になると、三重県桑名市増田神社にて行われる祭礼行事に合わせて旅から戻り、再び大晦日には檀那場へと赴くという。きょうは「山本勘太夫社中」が登壇する。

 

初めて大神楽を鑑賞する私は期待で心が高揚する。奉納演目を説明した資料が配付された。それには八景八曲の16の演目が記載されている。いよいよ軽快な音曲に合わせて最初の「鈴の舞」が始まった。神社での奉納の際は、総舞に先駆け拝殿にて奉納を行う舞だ。

 

「扇の舞」では猿田彦が手に持つ扇が欲しくて後を追いかけ回す。そして猿田彦の導きによって、立派に成長した獅子は、扇を授けられ狂喜乱舞する。

 

「綾採の曲」では道化役が登場。言葉の掛け合い噺や謎かけ問答を芸に加えて滑稽味をだしている。観客がドット笑う。先ほどの豆まきの祭に「おおいに笑ってお帰りください」とアナウンスがあった意味が理解できる。なるほどこれか。

 

「手鞠の曲」「献燈の曲」と続き14番目の「玉獅子の曲」に。すでに1時間以上が経過している。この舞ではおどけた顔の翁が登場し、会場の笑いを誘う。ここまで鑑賞したあたりで少し小雨が降り始めた。傘のない私はここで退却。

 

こうして楽しく過ごした私は建部大社を後にした。「ありがとう」。

 

                             ホームページ「伊勢大神楽講社 山本勘太夫社中」参照